10. 最後の著作刊行

最後の著書
最後の著書

宇野千代著『私 何だか 死なないような 気がするんですよ』(海竜社)が、平成7年12月12日に発行されました。
本はこんな書き出しで始まります。

--私は、平成7年の11月28日に満で98歳の誕生日を迎えることになりました。年が明けますと、昔風の数え年でいいますと百歳になるというわけです。・・・
・・・今朝も私は、朝ごはんをおいしくいただきました。そうです。私には365日、今日はごはんがたべたくないなという日は、一日もありません。・・・ そして、こんな幸せな日が、今日から明日へ、明日から明後日へ、ずっとずっとつづいて行くような・・・ そう、近ごろ、私はふと思うのですが、私は、何だか死なないような気がするんですよ。--

そして、こんな言葉で、あとがきを締めくくりました。
--私は、これからも長生きし、そして21世紀を見たいと念じているのです。--

これが宇野千代最後の著作になりました。